ITIL(アイティル:Information Technology Infrastructure Library)は、
ITシステムの運用や保守を効率的に実施するための業務ノウハウをまとめたものです。
ITサービスマネジメントのノウハウをまとめたベストプラクティス(成功事例)と言われています。
簡単にいうと、ITシステムを運用していくために
必要なスキルがまとめられているものがITILです。
このITILに関するスキルを証明する資格がITIL資格です。
試験の提供は、今まではEXIN(エクシン)が行っていましたが、
PeopleCert(ピープルサート)に変わりました。
PearsonVUE(ピアソンVUE)、プロメトリック社、
IT&ストラテジーコンサルティング社で受験が可能です。
ITIL資格にはバージョンがあり、
2019年2月にITIL v4がリリースされました。
(ITIL v3→ITIL 2011→ITIL v4になってます)
ITIL v4の日本語試験は2019年11月から開始されました。
v4より1つ前のITIL 2011資格体系は以下になっています。
※最新のITIL v4は資格体系が変更になっています。
詳細はITIL v4に記載しています。
ITIL v3のレベルとしては、4つのレベル(Foundation、Intermediate、Expert、Master)があります。
2016年からは新しいレベルのPractitioner(プラクティショナ)も、
Intermediateレベルと同じ中級レベルとして
開始されました。
後ほど、Practitioner(プラクティショナ)資格について説明します。
ITIL Foundation(ファンデーション)はエントリーレベルの資格です。
日本では17万人以上がこの資格を取得しています。
研修を受講すれば、試験にはほぼ合格できます。
しかし、研修(試験含む)は10~16万円程度します。
研修を受講せずに試験を受けて合格しても、
ファンデーション資格は取得できます。
問題数は40問で、すべて選択式です。
時間は1時間で、合格基準ラインは65%ですので、
40問中26問の正解が必要です。
試験費用は43,890円(税別)です。
プロメトリックまたはピアソンVUEの試験センターで
受験できます。
ITILインターミディエイトは、ファンデーション資格の上位資格です。
ITILインターミディエイトは中級者向けの資格で
9つの資格(以下)があります。
ケイパビリティとライフサイクルの2つのグループに分かれ、 科目単位ごとに認定されます。
・OSA(Operational Support & Analysis)
→運用サポートおよび分析
・PPO(Planning,Protection & Optimization)
→プランニング、プロテクション、最適化
・RCV(Release,Control & Validation)
→リリース、コントロールおよび妥当性の確認
・SOA(Service Offering & Agreements)
→サービス提案と合意
・SS(Service Strategy)
→サービスストラテジ(サービス戦略)
・SD(Service Design)
→サービスデザイン(サービスの設計)
・ST(Service Transition)
→サービストランジション(サービスの移行)
・SO(Service Operation)
→サービスオペレーション(サービスの運用)
・CSI(Continual Service Improvement)
→継続的なサービス改善
ケイパビリティの4つの資格が日本語に対応していますが、
ライフサイクルは日本語試験は提供されていません。
また、ファンデーション資格を保持していることが受験条件になります。
インターミディエイト資格を取得するためには講習の受講が必須です。
具体的には、ケイパビリティの資格を取得するために
各科目ごとに、講習(5日間)と試験を受ける必要があります。
つまり、講習費用と試験費用が必要で
30~40万円程度かかります。
ITILエキスパートは、インターミディエイト資格の上位資格です。
エキスパートの前提条件として、
ITILファンデーション資格に合格し
ITILインターミディエイト資格で15クレジット以上を取得する必要があります。
インターミディエイトのケイパビリティのいずれかの資格に合格すると
4クレジット分が与えられます。
つまり、ケイパビリティの4つの資格(SOA、PPO、OSA、RCV)にすべて
合格すると、16クレジットとなります。
※ライフサイクルの各資格は、それぞれ3クレジットですが、
日本語試験が提供されていないため、
ケイパビリティを取得されるケースがほとんどです。
つまり、ファンデーション資格および
インターミディエイトのケイパビリティの4つの資格(SOA、PPO、OSA、RCV)に合格すれば前提条件をクリアします。
その上で、エキスパート資格を取得するための
MALC(Managing Across the Lifecycle)試験に合格すれば
ITILエキスパート資格を取得できます。
※MALC(マルク)・・・ライフサイクルの全体管理
内容をまとめると、以下の通りです。
(1)ITILファウンデーションに合格する
(2)4つの資格(OSA,PPO,RCV,SOA)に合格する
(3)MACL試験に合格する
具体的に、エキスパート資格を取得する方法は、
例えば、トレノケート(旧グローバルナレッジ)の
ITIL Expert資格取得研修パックというものがあります。
受講期間は14日間で、講義+e-Learningの形式です。
費用は、1,102,000円(税抜)です。
※トレノケート「https://www.trainocate.co.jp/」
エキスパート認定資格を短期間で取得したい方を対象としたコースです。
このコースを受講するための前提として、
ファンデーション資格を取得している必要があります。
つまり、ファンデーション資格を持っている人が
このコースを受講して、
インターミディエイトの4つの試験(SOA/PPO/RCV/OSA)と
MALC試験に一気に合格するためのコースです。
このコースには講義と上記5つの試験が含まれますので、
5つの試験に合格すれば、エキスパート認定資格を取得できるというわけです。
105万円もしますので、高すぎます。
個人で負担できるレベルではありませんので、
会社の費用負担で受けることが想定されます。
また、すでにインターミディエイトの
4つの試験(SOA/PPO/RCV/OSA)に合格されている場合、
5日間のMALC(ライフサイクルの全体管理)コースを受講して、
試験に合格すれば、エキスパート認定資格を取得できます。
上記の内容に加えて、
新しい資格として、ITILプラクティショナ資格の
日本語試験は2017年5月から開始されました。
(2016年に開始され、日本語対応が2017年)
このプラクティショナ資格は、
ITILファンデーション資格の上位資格で
プラクティショナ認定資格はファンデーションと
インターミディエートの中間に位置します。
ファンデーション資格を取得し、
プラクティショナ認定を取得することで、
エキスパート資格の認定要件となる
22クレジットのうちの3クレジットの取得が可能です。
(ITILファンデーションと合わせて5クレジット)
つまり、インターミディエイトのケイパビリティの
4つの資格(SOA、PPO、OSA、RCV)のいずれか1科目が免除されます。
よって、新しいプラクティショナ資格を含めると、
MACL試験受けるための前提要件は以下のいずれかを満たせればいいです。
・ファンデーション+SOA+PPO+RCV+OSA
・ファンデーション+PPO+RCV+OSA+プラクティショナ
・ファンデーション+SOA+RCV+OSA+プラクティショナ
・ファンデーション+SOA+PPO+RCV+プラクティショナ
・ファンデーション+SOA+PPO+OSA+プラクティショナ
※上記のいずれかを達成することで、
ITILファンデーション認定資格(必須)+インターミディエイト
またはプラクティショナの認定資格(選択)による合計17単位以上
ITILマスターは、ITILの最上位資格です。
ITILエキスパート資格を取得していることが受験条件になります。
課題提出および面接で合否が判定されます。
課題は、実際にITILを利用した実務に関する内容を記載します。